お金不要の健康な食事法

外来での患者さんとの会話の中でよく登場するフレーズがあります。

「食事に気をつけることはないですか?」

これの真意を組むことは難しいです。
「健康のために」と言われれば「バランスの良い食事」と答えますが、まず釈然とされない顔をされてしまいます笑。「食道癌にならないために」だったら熱いものは控えてなど言いますがおそらくそうでもないです。

なので今回は「健康のために食事で気をつけることは?」という問いを
疾病により身体の活動制限や感覚制限を強いられない食事の方法(少なくとも今後三十年は)」ということにしてお答えしようと思います。

まずターゲットにするのは生活を不自由にする疾患です。日本人死因3大疾患の2つを指します。
脳卒中→突然死・麻痺発症
心筋梗塞→突然死・要酸素状態・歩けない
ちなみにがんはタバコをやめて飲酒も控えて感染症対策するのが先決です。それぞれ部位別に予防する必要があるので知りたい方は国立がん研究センターのサイトを参考にしてください。

これらの疾患ですが(性別も関係しますが)、ある2つの疾患をターゲットにするだけで劇的にリスクが減少します。
脳卒中→糖尿病予防で50%以上減少、高血圧予防で35%減少
心筋梗塞→糖尿病予防で60%以上減少、高血圧予防で30%程度減少
(注:それぞれ違うデータなので交絡因子はあると思いますがそれぞれ大規模コホート解析で参考になる値です。)

また糖尿病は癌のリスク(全体で20%-30%上昇)でもありますし、腎臓をやられて食事制限や透析を必要としたり、失明の原因にもなります。感染にも弱くなりすぐダウンしたり、創傷治癒が長引きます。何より日々の血糖のコントロールがかなり面倒に感じられると思います。

この万病のもとになる糖尿病と高血圧ですがかなりありふれています
厚生労働省の発表によると日本で糖尿病が強く疑われるのが1000万人、糖尿病の可能性を否定できないのが更に1000万人と5人に1人は糖尿病の疑いがあり、高血圧の患者数も1000万人とされていてリスクが高い病気でありながらかなり身近であることがわかります。

ただこの2つは運動と食事で大体予防できます。(先天的なものをのぞけば)

 

私たち日本人の食事では基本的には必要な栄養はとれます。不足するのはカルシウムくらいですが、過剰になりがちなのがエネルギーと塩です。運動する人はエネルギーも塩も消費するので基本的に日本人の食事は運動する人にとってはおおよそ健康的です。逆に言えば運動しない人にとってはリスクがあります。

荒っぽい議論になりますがこれらの生活習慣病は運動が解決してくれます。運動すればエネルギーも塩分も消費するからです。逆に言えば運動しない場合は日本食で過剰になりやすいカロリーと塩分を制限することである程度抑えられます。

ここでは運動しない人のための食事を考えます。運動する人はもともと健康志向が強そうであることと上記の疾患にかかりやすいのはやはり運動しない人であると思えば運動してくださいはあまりいいアドバイスではありません。

その点どの人でも食事はするものなので食事で、しかも簡単にできる3つの方法を提示します。さらに言えば低所得者であればあるほど疾患にかかりやすく、食事が偏っているというデータもあります。自分にお金がないときほど健康に気をつける必要がありますので、お金をかけない健康法があればハードルもグッと低くなります。

お金がかからない健康な食事法
①ゆっくり食べる
②朝食を食べる
③野菜を先に食べる

①ゆっくり食べると糖尿病発生率が5割に減ります。(参考文献Self-reported speed of eating and 7-year risk of type 2 diabetes mellitus in middle-aged Japanese men
ゆっくり食べるだけでリスクが下がります。早く食べると肥満になります。肥満になると糖尿病になりやすくなります。とりあえずゆっくり会話を楽しみながら食事を楽しみましょう。無料です。

②朝食を食べると昼食事の血糖値を上昇を抑え(セカンドミール効果)て糖尿病の発生率を2割減らします。(Breakfast skipping and the risk of type 2 diabetes: a meta-analysis of observational studies)
朝食を食べるとダイエットにもなることが知られていますので、体重が減れば血圧の上昇も抑えられます。夜に食べる分を少し朝に回せば無料です・・・笑

③野菜を先に食べることを意識すると野菜摂取量が増えます(A simple meal plan of ‘eating vegetables before carbohydrate’ was more effective for achieving glycemic control than an exchange–based meal plan in Japanese patients with type 2 diabetes )←比較で野菜先郡の方に20回噛むように指導などちょっと卑怯な手口が数個仕込まれてますが・・笑
野菜を先に食べるとどうやら血糖値の急上昇を抑えることが出来そうです。ただそれ以上に野菜の摂取量が増えて炭水化物の量が減る結果がでています。貧困層ほど炭水化物の摂取量が多くなり野菜の摂取量が少ないのでこれを意識するだけで摂取量が全然違います。白米を玄米にするのも良いですが白米は美味しいですから長続きしない可能性がありますがこれだと無理せずに出来そうです。

以上お金がかからない健康な食事法でした。簡単で誰でもできる方法だと思います。
ちなみに言及しませんでしたがこれが出来ればきっと高血圧の最大の原因である塩の減量も出来ています。きっと。

あとはそれぞれの個人の体や習慣に合わせて頂ければと思います。
筆者は1人暮らしで朝から次の朝まで一日中病院にいて食事はコンビニです。今まで朝はなかなか食べられてなかったですが、今は朝の仕事の合間に100円くらいのヨーグルトを食べ、夜には必ず200円くらいのサラダを先に食べるようになりました。体は元気です。腸も弱かったのですが今は快調です。数%程度の前立腺癌のリスク上昇(乳製品は前立腺がんのリスク)はしていますが許容します。

筆者の場合は1日300円程度の上積み(ヨーグルト+野菜)で良い食習慣になります。1年間で365×300≒10万円で結局お金がかかってるじゃんと言われるかもしれませんが、
例えば体調を崩してインフルエンザにかかると5日くらい働けなくなるので平均年収(420万円)だとするとおおよそ1日2万円x5日で10万円程度の機会損失でさらに1日の充実感も損失します。糖尿病や高血圧になるとこの比じゃなくなるくらいお金がかかります。ましてや心筋梗塞や脳卒中になると(高額療養費制度に引っかかるとはいえ)何十万円とポンポンお金が飛んでいった挙句に自由の効かない体になります。医療費も一生かさみます。その点で見ればこの食事法はお金がない人にとって極めて有効な投資になります。一人暮らしでなかったらもっと費用は安くなりますね。(本当は国が医療費が大変だという前に率先して推奨して行くべきなのですが・・・とりあえず簡単に出来るのでおすすめです。)

最後にオススメの書籍を挙げておきます。
医療者向け

食事について理解したい一般の方向け

手っ取り早く大事なことを知りたい人向け

お金不要の健康な食事法” に対して1件のコメントがあります。

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