「男性ががんになりやすい」は本当!?

「男性ががんになりやすい」は本当でしょうか。

前回の記事でがんの最大のリスクは「加齢」であることはご紹介しました。
実際に日本の平均寿命がここ50年で15歳以上伸びてきたことによりがんに罹患する確率は格段に上昇しています。ただ男性の平均寿命が79才、女性の平均寿命が86才であることを考えると女性の方ががんになる数が多そうですが2013年に「がん」だと診断を受けた方は男性498720人、女性363732人でやはり男性の方が多いです。
以下の国立がん研究センターが公表している年齢別の罹患率(2013年にがんと診断された10万人あたりの人数)のグラフを見てみましょう。

やはり年齢を重ねるごとに罹患人数(1年間で新たに罹患した人数)は増えて行きます。
そして巷で言われている通り、男性の方が圧倒的に多くがんに罹患しています。

ただここだけをみて男性ががんになりやすいとするのは早計です。

次に男性・女性はどのようながんになるのかの内訳を見てみましょう。

女性より男性の方が数が顕著に多い部位別で言えば「食道」「胃」「肺」です(前立腺は男性特有ですし、女性にほぼ特有の「乳房」「子宮」「卵巣」を合わせた数の方が多いのでここでは無視します)。また「その他」もかなりの差がありますので中身をみてみましょう。

「口腔・咽頭・喉頭」「腎臓・膀胱」がかなり差がついていることがわかります。
前回がんを予防するたった3つのことについて書きましたが「喫煙」「飲酒」がこれらの臓器リスクを顕著に増大させるのでした。

ここで1つの仮定が思い浮かびます。
「男性が女性よりタバコを吸っているからがんになっているだけでは?」という素朴な疑問です。

年齢別、調査年数別の喫煙データを厚生労働省が出しています。

おおよそ3倍近く男女で喫煙率に差があります。

ちなみに喫煙によるリスクの代表は肺がんですが
2013年の肺がん罹患数は
60-69才男性 19988人
60-69才女性 8945人
で、この年齢の男女の人口差は5%程度女性が多い程度ですから2.3倍程度男性の方が肺がんになっている計算です。
また肺がんに至るまでおおよそ20年程度の喫煙のタイムラグを必要とします。平成6年の時に40~49才男性の喫煙歴は50%程度、女性は10%程度であるのと、喫煙による肺がんのリスクは4~5倍という解析(喫煙を除く他の条件を一緒にした場合)がありますので、これで計算すると確かに男性は女性の1.9~2.1倍程度肺がんを発がんすることになり、おおよその計算ではありますが肺がんは喫煙による性差であることがわかります(これに加えてアスベストに暴露しやすい労働環境におかれるのは男性の方であることも寄与していると思われます)。

飲酒も口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、肝臓、大腸のリスクを高めますが厚生労働省の平成27年の調査によると生活習慣病を高めるまで飲酒をしていた割合は男性13.9%、女性8.1%と出ています。やはり男性の方が多いことと、飲酒x喫煙の組み合わせは最悪なので男性側のがん発症が高まっていてもおかしくありません。

正確な数字を用いて計算したのは肺がんだけなので正確とは言えませんが
とりあえずここまでで「男性ががんになりやすい」のではなく「男性が喫煙・飲酒をしているだけ」という示唆は得られました(断定には統計的な研究が待たれます。実は細かく見れば性差がある場所はありますが、その話は次回以降にお伝えします。)

ちなみに肺がんは
喫煙していれば4~5倍の発がんリスクですが
一旦やめれば3倍までリスクは減り
10年やめれば1.8倍まで下がり
20年やめれば非喫煙者と同じになります。

喫煙されている方はまずは禁煙のページを使ってやめてみましょう。

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