インフルエンザで病院に行くのは時代遅れ


今年はインフルエンザになりましたか。

毎年インフルエンザが流行しています。国立感染症研究所の発表によると2016年第36週~2017年第17週までに累積推計受診患者数は約1,672万人とされています。ちょっとしたクリニックでも冬場にはインフルエンザ患者が殺到しており夏季とはまた違う賑わいを見せています。

インフルエンザが疑わしい患者さんがくるとやることが決まっています。
インフルエンザキット(鼻をこちょこちょ)→陽性→タミフルという具合です。
患者さんもこの作業をよく知っていて初めからこれを求めにクリニックにやってきます。

実はこの一連の作業がかなり害悪の大きい作業だと思っています。

その理由は如何の6つの事実に起因します。
①インフルエンザが感染症であるということ。
②インフルエンザ患者が来院して帰っていくまでに1時間以上不特定多数の他人と接触していくこと。
③インフルエンザ検査キットは陽性になるまで12時間経過する必要があること
④インフルエンザキットは実はインフルエンザの3割程度は陰性となってしまうこと。
⑤抗インフルエンザ薬(タミフル)は解熱を1日早めるだけであること。
⑥かなり簡単な処置・投薬なのに1人あたり1万円弱かかり、全体では1600億円/年ほどの医療費がかかること

①〜⑤が医学的な理由、⑥が広く知られない理由になります。

①は言わずもがなですね。もともとは動物(渡り鳥や豚など)から感染が始まりますが一度ヒトからヒトへと感染するようになると流行が始まります。逆に言えば他人にうつさなければ流行しません。ちなみにインフルエンザ患者は症状がでる1日前から感染力があります。

②検査を受けて薬をもらってくるには家を出なければいけません。理想的に家→病院(15分)+受付→検査(10分)+検査待ち時間(10分)+結果説明→処方箋受け取り(10分)+病院→薬局(5分)+薬局受付→薬受け取り(10分)+帰宅(15分)=75分。最短でもこのくらいかかり、通常ならおおよそ2時間はかかりそうです。この間は感染力を保持しながら他人と接することになります。逆にインフルエンザではないのに、待合室で多数のインフルエンザ患者と接しなければなりません。ただでさえ弱っている時に。

③検査キットによりますが、おおよそ正しく測定するには症状が出てから12時間はあけなければいけないと言われています。もう発熱して苦しそうなのにまた来て下さいと言われることもあります

④インフルエンザキットによりますがおおよそ感度は60~90%、特異度90%以上となります。インフルエンザ陽性と診断されればほぼその通りですが、インフルエンザの人の10%~40%は陰性と診断されます。患者さんもよくこの検査を免罪符にしてインフルエンザじゃないと胸を張って登校するから毎年流行しているんじゃないかと勘ぐってしまいます。

⑤よく誤解をしている患者さんがいますがタミフルはそんなに効きません。もっと正確に言えば効かないことが最近になってわかってきて、2017年にWHOがオセルタミビル(タミフル)を「中核的薬剤」から「補助的薬剤」に格下げしました。解熱を1日早める程度の効きです。また症状が出てから48時間以内に内服しないとあまり意味がありません。

⑥インフルエンザはクリニックでは儲かります。逆に言えば患者さんや(健康な)納税者の出費になります。基本的に初診料(2820円)+検査代・判定代(2910円)+処方箋料(680円)=6420円に時間外加算(850円)や6歳未満(750円)などが諸々に加わり大体1人あたり7000円くらいの収入になります。また薬もタミフル1日2回5日間という飲み方で2830円+調剤料(800円くらい)で3500円程度になります。ざくっとした計算ですが1人あたり10500円くらいかかっています(3割負担の人は3000円出費)。仮にクリニックで1日100人ぐらいのインフル患者さんをみるとそれだけで70万円/日くらいになります。さらに薬局と同じグループだったりすると薬価差益が反映されます。処置も簡単なので逃したくない良い利益源です。

ただ忘れてはいけないのがこれが納税者負担であるということです。全国で1672万人いると言われる患者さんが同程度の治療を受ければ1672万人x10500=1750億円程度となり通常の医療費割合でみると税金+保険料が9割程度なので納税者負担は1600億円/年程度(全ての人が同じ医療を受ける訳ではないのであくまで参考値。ただし小児などは単価も高く全額補助になっていることも多いため実際の数値の方が高くなることもあります)になります。例えば2017年8月に厚労省が待機児童解消のために9万人分の保育枠を確保するために請求した額が500億円でした。同じ子どもへの使い方でも大分効果は違います。

それではインフルエンザに対応する良い方法は
外出せずに家で麻黄湯を飲んで過ごす。
これに尽きます。ちょっと体力弱めの方は麻黄湯ではなく葛根湯をオススメします。風邪にも使えるので一石二鳥です。

500円くらいで2才から使えます。実は麻黄湯は(小規模の試験ではありますが)タミフルよりも1日解熱が早かったという結果が出ています。またタミフルと違って普通の風邪にも効くのでこの方法だと
①他人に感染させない
②だから流行させない(みんなが元気でいられて、自分も元気でいられる確率も高くなる)
薬をすぐに使える
④(風邪にも効くので)検査する必要がもともとない
病院に行く(タミフルもらう)よりも治りが早い
自分の出費が2500円安くなり、納税者としての出費が1600億円/年減る。

全て良しです。おそらく一番のネックは学校/仕事を休ませられるかという点だと思いますが、休ませて良いと思います。具合が悪くなったら休むというのは(みんなのための)鉄則で休むかどうかを完璧に当ててくれる訳でもないキットに委ねるというのも大人として恥ずかしい気もします。そもそも休むために診断書をお願いされたことはありません。皆さん学校や会社には「インフルエンザでした・・・」と口頭でお伝えしているようです。「インフルエンザと思うので休みます・・・」と言うと恐らく罵声が飛んでくると思いますので「(自分の感覚で)インフルエンザでした・・・」とお伝えしましょう。みんなのために。

厚生労働省や中医協でこういったことに対する保険診療のあり方を変えてそろそろ予防的な措置に変えていく試みをして良さそうです。例えば地域の患者さんのインフルエンザ診療費が減った「一部」だけ自動的に地域の開業医さんたちに割り振るようにすれば、わざわざクリニックは人手を使わずとも収入が得られます。人件費なく収入が上がるのでたとえ「一部」であってもかなり経営上の利益になりそうです。インフル患者の大量流入はお金になるとはいえ、その分じっくり向き合う必要のある患者さんに対して手薄になってしまっている現状は開業医さんにとってもかかりつけの患者さんにとっても不幸でしょう。全国的にインフルエンザ1600億円の医療費が待機児童問題に500億円、(予防・セルフケア啓蒙活動をした)クリニックに500億円、持病ありのインフルエンザ患者などへの治療600億円に当てれば、待機児童解消で全国の働き手が増え(税収が増える)、開業医の収入と患者への治療への質が保たれ(医療者の労働時間削減と患者病気の悪化による治療費増加なし)、元気な人が増える(幸せな人が増える)ことになります。

もうインフルエンザで病院にいくのは時代遅れになって欲しいですね。
(病弱な方、喘息や心疾患などの持病を持っている方は無理せず病院に行きましょう)

おさらいです。
インフルエンザを疑う頭痛や高熱がある初期の時に麻黄湯を使います(とりあえずこれだけ持っていれば良いと思います)。

(以下はこだわりたい方のために)そこまでは行かなくてもちょっとぞくっとしたり、鼻がグズグズだったり、汗が出ている状態なら桂枝湯を使います。

同じようにちょっとぞくっとはしているんだけど汗が出ない人は葛根湯を使います。

この冬にセルフケアデビューしてみましょう。
(熱が下がっても3日間くらいは感染力は残っていますのでしっかり休んでください。自分と相手の喉を守るためにもマスクは必須です。登校日は厚生労働省のHP参照

インフルエンザで病院に行くのは時代遅れ” に対して 3 件のコメントがあります

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です